『マイ・フィクション』を見ていて、ちょっと気になったのが森川葵さんの演技でした。
森川葵さんといえば、『賭ケグルイ』『放課後カルテ』『スティンガース 警視庁おとり捜査検証室』など、ドラマも映画も長く出続けている女優さん。
私もなんとなく「演技力のある人」というイメージを持っていました。
でも今回、二宮由梨を見ていて、
「うーん……そこまでうまいかな?」
と思ってしまう場面が何度かあったんですよね。
誤解のないように書いておくと、感情が動いていないわけじゃありません。
驚くし、慌てるし、取り乱すし、ちゃんと動揺している。
それなのに、なんかいまいち物足りない。
言葉は悪いんですけど、いちばん近いのは「わざとらしい」でした。
いかにも驚いてます、いかにも動揺してます、という芝居に見えてしまう瞬間があったんです。
というわけでこの記事では、森川葵さんは本当に演技下手なのかを考えてみます。
『マイ・フィクション』で気になった場面と、「棒読み」「わざとらしい」という過去の評価、それから代表作での演技を並べてみました。
※演技の評価はあくまで個人の感想です。
森川葵は演技下手?『マイ・フィクション』で気になった感情表現
最初に書いておくと、「ものすごく演技下手」とは思っていません。
由梨を見ていてドラマに集中できない、というほどの違和感もなかったです。
感情の起伏もちゃんとあります。
ただ、何度か、
「うん、驚いてるのはわかる。わかるんだけど……」
と、微妙に引っかかる感じがあったんですよね。
由梨の反応って、だいたいこんな形が多い気がしました。
- 目を大きく見開く
- 「え、どういうこと?」と声が大きくなる
- 慌てた早口になる
- 困った顔のまま相手に詰め寄る
ひとつひとつは、驚いた人の反応としておかしくありません。
でも、いかにも「驚いた人の芝居」という形に近づきすぎている気がしたんです。
驚いた人ってこうしますよね、というお手本をなぞっているような感じ。
由梨という人がその瞬間どう感じたのか、というより先に、リアクションのほうが目に入ってくる。
しかもそれが毎回だいたい同じ形なので、余計に「あ、またこれだ」と気づきやすい。
ここが「今回の演技、ちょっと気になるかも」と思った最初のポイントでした。
森川葵の演技はわざとらしい?棒読みより気になったこと
森川葵さんの演技を調べてみると、過去の視聴者レビューには「棒読み」「表情が固い」といった意見が出た作品もあります。
作品によっては「演技がわざとらしい」と感じた人の声も見つかりました。
『マイ・フィクション』に関して言うと、私は「棒読み」のほうはまったく思いませんでした。
セリフに感情は入っていますし、むしろ感情量は多いくらい。
気になったのは、逆のほう。
感情はしっかり出ているのに、その出し方がいかにもすぎるところでした。
驚いたから目を見開く。
動揺したから声が大きくなる。
混乱したから早口になる。
ぜんぶ理屈としては合っています。
合っているんですけど、合いすぎていて、逆に「演技だな」と見えてしまう瞬間がある。
実際の人間って、驚いたときに変な間が空いたり、しゃべりかけて止まったり、もっと不格好なんですよね。
その不格好さが少ないぶん、きれいに整った驚き方に見えてしまったのかなと思います。
ちなみに森川葵さん、『賭ケグルイ』ではもっと大げさな表情や動きをしています。
あちらは「わざとらしい」どころか、明らかにやりすぎなくらいのオーバーな芝居。
ただ本人が『賭ケグルイ』について、あそこまで「演ってます!」という芝居は初めてで、あの現場だからできたという趣旨の話をしているんですよね。
つまりあれは作品の世界観に合わせて、わざと振り切っていたということ。
で、ここが引っかかるところで。
『マイ・フィクション』はマンガ原作の派手な作品ではありません。
設定は突飛でも、描かれているのは普通に生活している母親の話です。
そこに記号的な驚き方が入ると、どうしても浮いて見えてしまう気がしました。
賢人の病院シーンで感じた森川葵の演技力
いちばんそれを感じたのが、息子・賢人がケガをして病院に運ばれた場面です。
由梨にとって賢人は大切な一人息子。
公式サイトでも由梨は6歳の息子・賢人を育てるシングルマザーとして紹介されていて、森川葵さん自身も「息子を守るために悲しみと向き合いながら前に進む女性」という趣旨で語っています。
その大事な子どもが、頭から血を流して運ばれてくる。
母親としては、たぶん人生でいちばん怖い部類の状況ですよね。
で、ここで由梨はちゃんと動揺しています。
動揺しているのは、見ていてすごくわかる。
わかるんですけど、「いかにも母親が取り乱す場面」の芝居に見えてしまったんです。
大きな声を出して、慌てて駆け寄って、泣きそうな顔になる。
正しいんだけど、想像した通りすぎるというか。
本当に頭が真っ白になった人って、もっと反応が遅れたり、変なところで冷静だったり、質問がかみ合わなかったりしますよね。
そういうノイズが入っていたら、「うわ、この人いま本当にこわいんだ」と思えた気がします。
感情の大きさは足りている。
足りないのは生っぽさのほう。
この場面が、演技力について「うーん」と考えるきっかけになったシーンでした。
代表作『賭ケグルイ』『放課後カルテ』の演技と比較
じゃあ森川葵さんは、前から演技下手と言われてきた女優さんなのか。
代表作をたどっていくと、そんな単純な話でもありませんでした。
わかりやすいのが『賭ケグルイ』です。
演じた早乙女芽亜里は、プライドが高くて感情も激しいキャラクター。
怒る、叫ぶ、顔を大きく崩す。とにかく振り切っています。
しかも本人が、この作品独特のオーバーな芝居を意識していたと明かしているんですよね。
そして『賭ケグルイ』の場合、その大げささが完全に正解。
「わざとらしい」がむしろ武器になる作品なので、めちゃくちゃハマって見えます。
一方、『放課後カルテ』では小学校教師の篠谷先生を演じました。
ドラマの演技に投票できる「ドラマふぁむ」では、篠谷先生役の森川葵さんについて、222票中176票、約79%が「よかった」と評価。
ただ、全員から支持されていたわけでもなくて、熱心な先生なのは伝わるけれど少し重く感じた、という趣旨の意見もありました。
この「伝わるけど、ちょっと強い」という感想、今回私が感じたものとちょっと似ている気もします。
さらに過去作品の視聴者レビューを見ていくと、「棒読みに聞こえる」「表情が気になる」といった声も見つかります。
こうして並べると、
「森川葵はずっと演技下手」
とも、
「どんな役でも圧倒的な演技力」
とも言い切れないなと思いました。
近いのは、作品のトーンとハマるかどうかで印象が変わる女優さんという感じ。
『賭ケグルイ』みたいに全開でいける作品なら、はっきりした芝居がそのまま強みになる。
でも『マイ・フィクション』のような生活感のある物語だと、その同じ芝居が「いかにも」に振れてしまう。
この差、けっこう大きい気がします。
森川葵は演技下手なのか?役柄との相性から考えた結論
で、結局のところ森川葵さんは演技下手なのか。
『マイ・フィクション』を見た私の結論は、
「演技下手と言い切るほどではない。でも今回の由梨役を見て、すごく演技力が高いとも思わなかった」
です。
気になったのは棒読みではありません。
感情が動いていないわけでもありません。
むしろちゃんと驚いているし、ちゃんと動揺している。
それでも物足りなかったのは、その感情の出し方がいかにもすぎたから。
驚いた人はこう。
動揺した母親はこう。
そのお手本をなぞっているように見えて、由梨個人の反応として入ってこない場面がありました。
特に賢人がケガをした場面は、その印象が強かったです。
その一方で、『賭ケグルイ』ではその振り切った芝居がドンピシャでハマっている。
『放課後カルテ』でも好意的に評価した人は多い。
ここまで見ると、
「森川葵=演技下手」というより、「作品のトーンによって演技のハマり方に差が出やすい女優さん」
というのが、私にはいちばんしっくりきます。
『マイ・フィクション』の由梨が、演出の指示でああなったのか、本人の演技のクセなのか。
そこは本人や制作側にしかわかりません。
ただ少なくとも私は今回、
「森川葵さんって演技うまいイメージだったけど、こんな感じだったっけ?」
と何度か思いました。
だから「森川葵 演技下手」「わざとらしい」と検索したくなる気持ちは、ちょっとわかります。
とはいえ、代表作まで見ていくと、一作品だけで決めてしまうのも違うなと。
『マイ・フィクション』では、もう少し生っぽい由梨が見たかった。
今のところ、これが一番素直な感想です。
※演技についての評価は個人の感想です。

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